ハナヤマタ「花ハ踊レヤいろはにほ」のイントロとサビのコード比較
はじめまして、シューバッハです。森永の練乳のこと考えながら曲作ったりしてます。
このブログでは個人的に「面白い!」と思ったアニソンの楽曲分析やコード進行について
僕なりの考えを書いていくつもりです。
音楽の解釈というものは人それぞれの捉え方があると思うので、
そういう考えもあるのかぁ、
くらいの気持ちで読んでもらえたら嬉しいです。
あとアニソン以外の曲でも面白いと思ったら何か書くかもしれません。
基本的に気分次第です。
それでは本題…
…おあがりよ!
<TVアニメ「ハナヤマタ」のOP 〜花ヤ踊レヤいろはにほ〜>
なんで今さらハナヤマタなんだよ!w
というツッコミはアクションマジック「回避」!で無効にします。
ブログのタイトルでも言っていますが、
この曲の一番面白いところはイントロのコードとサビのコードの違いだと思います。
僕が初めて聴いたときはAメロのクリシェが東京ミュウミュウのOPのコード進行と似てるかな?
と思って鍵盤でコードをさらっていたのですが、
弾いてみてやっとイントロとサビの面白さに気がつきました。
(弾かなくても聴くだけで気付ける音感が欲しい…)
※以下、解説になりますが
ピアノなど弾きながら確認していくとわかりやすいと思います。
出てくる用語でわからないものはググると大体出てくるはずです。
まずはイントロ4小節のコード進行です。
(key:A♭)
D♭△7 E♭7/D♭ Cm7 Fm7
Ⅳ△7 → Ⅴ7/Ⅳ → Ⅲm7 → Ⅵm7
いわゆる歌モノで良く使われるⅣ→Ⅴ→Ⅲ→Ⅵの進行ですね。
続いてサビの4小節のコード進行です。
(key:E♭)
A♭△7 A♭m△7 Gm7 G♭dim7
Ⅳ△7 → Ⅳm△7 → Ⅲm7→ Ⅲ♭dim7
サビも冒頭と同じくⅣ△7から入りますが、その次から変わっていますね。
サブドミナントマイナー(Ⅳm△7)を経由したのち、
ベースが半音下降していきます。ン〜いい響きだ
ここですでに僕が言わんとしていることに気がついてる方もいるとは思いますが、
わかりやすくするために少し咀嚼してみます。
サビのコード進行もイントロと同じⅣ→Ⅴ→Ⅲ→Ⅵに
リハーモナイズ(メロディは変えずにコードを変える)してみましょう。
(key:E♭)
A♭△7 B♭7/A♭ Gm7 Cm7
Ⅳ△7 → Ⅴ7/Ⅳ → Ⅲm7 → Ⅵm7
すると、イントロと同じ進行にしたはずなのに、実際のコードはイントロとは違うコードになっています。
答えは簡単、イントロとサビではキーが違うからです。
さぁ、ではここでイントロとサビの歌のメロディを確認してみましょう。
何・・・だと・・・?
気づきましたか?
そうです、この曲、
キーが変わっている(転調している)のに、イントロもサビもメロディは同じ音( 移調されていない)なんです。
しかし不思議とどちらのキーで弾いてもメロディとコードの構成音がぶつかりません。
この曲はハナヤマタというアニメの雰囲気に合わせて
「ヨナ抜き音階」という日本音階を使ってメロディが作られています。
ヨナ抜き音階はその性質上、
半音で隣り合う音が無いので、他の音階に比べて濁った響きを避けやすいです。
(アクションマジック回避!)
そのため、複数のキーのダイアトニックスケールとして扱うことも出来、
ハーモニーのパターンにも幅が生まれてくるというわけです。
僕は相対音感なので曲中で転調が起こるとわりとすぐに気がつくのですが、
メロディにピボット的な役割をもたせて転調をする曲は
今まで聴いてきたアニソンの中でこの曲以外記憶にないです。
他にもあったらどなたか教えてください。
それにしてもこの曲を作られたMONACAの田中さん、流石ですね・・・
Ⅳ→Ⅴ→Ⅲ→Ⅵの進行自体は
深夜アニメでいうところのノイタミナ枠のようなもの(?)なので、
適当に最近流行ってる曲を色々聴けば
このコード進行が使われている曲とはすぐに出会えると思います。
そこで
「あまりにも周りが使っているから、
自分は曲を作るときにⅣ→Ⅴ→Ⅲ→Ⅵを使わずに個性を追求してみせる…!」
という気持ちはわかりますが、それは違うと思います。
Ⅳ→Ⅴ→Ⅲ→Ⅵが当てはまるメロディなら使ったほうがいいです。
綺麗ですから。
ガンガン使っていきましょう。
「花ヤ踊レヤいろはにほ」のように
Ⅳ→Ⅴ→Ⅲ→Ⅵを基準にしつつも、
転調したり、
代理コードに変化させてみたり、
リハーモナイズしてみたり、
色んな工夫を施すことで耳に馴染みのあるコード進行が
こんなにも美しい響きになります。
このブログで解説した部分以外にも
素敵なコード進行が散りばめられている曲なので、
皆さんも是非分析してみてください。
お粗末!!!
シューバッハ(@schu_bach)